オンキヨーのDAPと云えば、DP-X1から始まり、DP-X1Aと進化を続けている。そして、満を持して登場したのがスマートフォンとDAPの融合を実現したDP-CMX1 GRANBEATだ。

DP-X1は、ESS社のDAC「ES9018K2M」とアンプ「SABRE 9601K」をそれぞれ2基積み、贅沢なデュアル構成で登場し、クリアで美しい音質は多くのユーザーを虜にした。

しかし、製品の品質という面では課題もあり、3.5mmプラグが緩いという問題がネットで話題になったりした。自分自身も3.5mmプラグが緩くなるという不具合(2回修理)と修理から戻ってきたら片側のチャンネルの音が出ないという不具合(1回修理)が続き、ひとつの製品で3回も修理に出すという貴重な経験をさせてもらった。

DP-X1は、音がクリアで美しいが、低音が弱いという欠点もあった。特にソニーのウォークマンNW-ZX2やNW-WM1Zと比べると低音が弱く、BA型イヤホンなどだと低音に物足りなさを感じたりしたのも事実だ。

オンキヨー自身もDP-X1は低音が弱いという欠点を認識し、大容量コンデンザを積み、低音の改善を図ったモデルとしてDP-X1Aが登場した。DP-X1Aにはとても期待をしていたが、低音の改善は全く見られなかった。 DP-X1Aはエージングも試したが、結局、手持ちのDP-X1と低音を比較すると、ほとんど変わらないか、まだDP-X1の方がエージングで低音が強いという結果になってしまった。

そんなDP-X1Aに裏切られ、絶望を感じている中でオンキヨーからスマートフォンとDAPを融合した新しいモデルが発表させるというのを知った。音質はDP-X1Aと同等か、それ以上という謳い文句に釣られ、予約をしてDP-CMX1 GRANBEATを購入した。

DP-CMX1は、デュアル構成のDACが「ES9018C2M」に変更され、アンプは変わらずデュアル構成の「SABRE 9601K」で登場した。「ES9018C2M」と「ES9018K2M」は姉妹モデルのようだが、具体的に何が異なるのかはESS社のホームページを見ても良くわからなかった。

DP-CMX1はDP-X1やDP-X1Aと比べ、手に持つと随分とスマートになったことがわかる。スマホらしく縦長になり、握り心地も良い。スマートになったということはそれだけ基盤の入るスペースが減ることを意味し、ただでさえスマートフォンの機能も加わったのでオーディオとしての部品は音質よりも小型化を優先したものになったのではないかと悪い予想をしていた。

それがDP-CMX1 GRANBEATの音を聴いて驚かされた。DP-X1やDP-X1Aで到達した静寂の中の美しいクリアな音質はそのままに低音が強化されている。良い意味で予想を裏切られた。クール系な音を奏でるDAPとして完成形に違い。

結構、DP-CMX1の音が気に入ってしまい、もしかすると、NW-WM1Zも存在意義がなくなってしまうかもしれないと危機感を抱いたが、それは杞憂だった。

NW-WM1Zと比較をしてしまうと、音の解像度や音のアコースティックな響きでDP-CMX1は完全に負けている。値段を考えれば当然なのだが、手軽に良い音が持ち運べることを考えるとDP-CMX1 GRANBEATは必要十分だと言える。

スマートフォンはXperiaとiPhoneがあるので、GRANBEATはあくまで音楽用スマートフォンとして運用していこうと思う。ちょうどSIMカードも余っていたので。 


ONKYO デジタルオーディオプレイヤー GRANBEAT SIMフリースマートフォン機能付き ハイレゾ対応 DP-CMX1(B)