Amazon.comのKindle、iPadのiBooksが日本市場に迫ってきてようやく日本の出版業界も動き出した。日本の出版業界は長い間再販制度に守られ、それが利権となってきた。そこに外資の黒船ともいえる巨大な電子書籍プラットフォームが入ってきて出版業界の危機感が募った。

ソニーは海外で好調の電子書籍リーダー「Reader」をベースに日本市場への再参入のためにKDDI、凸版、朝日新聞社と手を組み、新会社を設立した。新会社は、ソニーのエレクトロニクス技術、KDDIの無線通信網、凸版印刷の顧客と電子ペーパー技術、朝日新聞社の豊富なコンテンツをベースに日本での電子書籍プラットフォームの構築を手がけることになる。

新会社の電子書籍リーダーは、ソニーのReaderにauのCDMA2000通信網を組み合わせるものと予想する。NAVITIMEカーナビのようにau通信網のデータ定額がワンコイン(525円)以下で使えるようになるのではと思われる。ドコモ、ソフトバンクのように看板となる次世代端末がない中でauにとってReaderは救世主になるかもしれない。

今はSony Readerの年内発売を楽しみに待ちたい。

これ以外でも日本の電子出版の動きは出始めている。個人的には雑誌の分野でディファクトスタンダードになると予想しているのがMAGASTOREだ。このMAGASTOREは独自のハードウェアを持たないが、Kindleのようなクラウド技術を用いてPC、iPhone、iPad、Xperiaなどでどこでも購入した雑誌が読めるようになっていて大変便利だ。MAGASTOREを運営しているのは広告代理店大手のdentsuで、その技術基盤はこの分野で高度な技術を有するYAPPAが構築している。日本の電子出版ではどこよりも進んでいると思う。

日本の電子出版の動きを見ているとまるで明治維新のように感じる。外圧があって初めて動き出すというのが日本人の国民性なのかなと改めて認識してしまった。