Campfire AudioのフラッグシップモデルVEGAが発売されたので早速購入してみた。

これまでのフラッグシップモデルである5BAユニットを搭載したAndromedaの評価が大変高く、ダイナミック型イヤホンでは生産が中止されたLYRAの評価が高いこともあり、初めてのCampfire Audioのイヤホンだが迷いなく手に入れることができた。

購入してすぐにNW-ZX2にVEGAを差して聴いてみたが、全体的に音が柔らかく、低音が強めに出て、高音域はフワフワと頭の中を巡るような感じで、音のバランスは悪いものの素性の良さを感じて少し鳥肌が立った。その後、50時間ほどエージングをしてのレビューになる。

Campfire Audio VEGAは低音が強く出ていたので、低音が弱めのDP-X1で最初に聴いてみた。DP-X1とVEGAの組み合わせは音がフラットで気持ちいい。Campfire Audio VEGAのレビューの中にはアンプの性能が良くないと性能が引き出せないというものもあったが、DP-X1でも十分に性能を引き出せている。VEGAの個性でもある低音のボリューム感がなくなり、リファレンス的に聴けるようになる。

NW-ZX2でVEGAを聴くと、VEGAの良さである低音の生々しさが引き出され、音に迫力が生まれる。個人的にはとても好みの音だ。今まで聴いたことのない音がそこにはある。

Campfire Audio VEGAと一番合うと感じたDAPはAcoustic ResearchのAR-M2だ。音のクリアさ、バランス、全てが完璧に近い。LYRAもBA型イヤホンのような音がすると言われていたが、このVEGAもBA的な音の繊細さを表現してくる。そこにダイナミック型イヤホンが持っている豊かな低音域が加わり、唯一無二の音を奏でてくれる。上手く表せないが、何かひとつイヤホンを残せと言われたら迷わずVEGAを選ぶと思う。それぐらい魅力のあるイヤホンに仕上がっている。

まだエージングが50時間だが、まだまだ音が良くなりそうな予感がする。とても硬いダイナミック型ドライバーを使っているのでエージングも時間がかかりそうだ。

高音域 ★★★
中音域 ★★★
低音域 ★★★★★
解像度 ★★★

追記 2016/11/23

エージングも200時間以上となり、評価も安定してきたと思うので追記しようと思う。

Campfire Audio VEGAの音を唯一無二の音と評価したが、それは聴き続けても変わることはなかった。イヤホンでは出すことが難しい豊かで生々しい重低音(ヘッドホンでもこの豊かな重低音を出せるものがあるのかと聞かれると自分は知らない)をベースにして、透き通った濁りのない高音域と中音域が音を奏でる。決して重低音に埋もれることなく、どこまでも澄んだ高音域と中音域は聴いていて本当に不思議な気持ちになる。音がドンシャリとか、フラットとか、そういう言葉では表せない。小さなライブホールの前列でライブを聴いているかのような気持ちにさせてくれる。自分はどちらかというと、原音忠実で音はフラットであることを追及してきたが、本当のフラットな音というのはVEGAが奏でる音なのかもしれない。本来はこの豊かな低音があるべきだが、ドライバーの技術の問題で実現できていなかっただけのような気がしている。

このCampfire Audio VEGAと最適な組み合わせはAcoustic ResearchのAR-M2だと感じている。もしもCampfire Audio VEGAの音を聴いてがっかりしたならばAR-M2で聴いてみることをおすすめする。

Campfire Audio VEGA CAM-4907


Acoustic Research AR-M2